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CRMとの連携を見据えた拡張性、 センターの可視化と分析をリアルタイムで実現 感動品質に資する基盤づくりに欠かせない コンタクトセンターソリューション
「きらきら、つながる。」をコーポレートスローガンに据え、高品質な電気通信サー ビスを提供することで九州の高度情報化への貢献を目指している株式会社QTnet。 未来を拓く新たな“ 光” を九州から発信することで、暮らしやビジネスに“ 感動品質” を届けるべく、電力系通信事業者としての強みを生かしながら幅広いサービスを展 開。具体的には、自治体や企業向けにネットワークやクラウド、電話、セキュリティ を提供するICT関連ソリューション「QT PRO」をはじめ、光ファイバを用いたインター ネット接続サービス「BBIQ」、スマホサービス「QT モバイル」、電力サービス 「BBIQ 電力」など個人向けの豊富なサービスメニューも提供。なかでも、BBIQや QTモバイルなど個人向けサービスに関しては、問い合わせ窓口として「QTnet お 客さまセンター」を設置し、契約内容の確認・変更や新規申し込み、設定方法といっ たさまざまな問い合わせに対応できる体制を整えている。同センターでは、これま で電話での対応が中心だったが、チャットボットやSNS 対応も含めたオムニチャネル で顧客対応を行うコンタクトセンターへの脱却を現在目指している。
オペレータ視点で、システムが変わったとしても使いやすい もので考えると、きちんと日本語対応もできているアバイアで あれば問題ないと考えたのです。
同社では、従来利用してきた交換機の更改タイミングを迎えるなかで、新たな環 境への刷新に迫られていた。「6 年前に導入して以来、お客さまニーズも多様化して おり、機能的に不足する部分も出てきました。お客さまの期待値を超える“感動品質” を提供するべく、新たな基盤づくりに向けて必要な要件を洗い出していったのです」 と語るのは技術本部 通信サービス設備部長 向江博文氏だ。そこでお客さまセンター としての感動品質、つまり応対品質を高めていくためには何が必要なのか、現場で の課題を洗い出していきながら新たな顧客対応の仕組みづくりに取り掛かった。
そこで課題になったのが、チャットボットやLINE をはじめとしたSNS など対応チャ ネルが増える過程で、チャネルごとに顧客対応が個別最適化された形で構築、運用 されてしまい、結果としてシームレスに情報が引き継げない状況に陥っていたことだ。 「それぞれの窓口で応対履歴がつながっていないため、SNSで対応していた情報を 電話に引き継げないといった状況が発生していました。サイロ化された状態では、 応対品質を高めていくための管理も難しいと考えました」とお客さまセンター 計画 グループ グループ長 小川等氏は語る。
また、現場では顧客とのコンタクトチャネルが増えるなかで、対応するオペレータ も対応手順を含めて多くの学びが求められる。「オペレータを支援するためにも、 対応ナレッジをリアルタイムに提供していくことで、業務を簡素化する環境づくりも 同時に求められました」とお客さまセンター インフォメーショングループ グループ長 栗下信也氏は当時の課題を振り返る。実際にはコンタクトセンターの基盤というよ りもCRMとの連携による仕組みづくりが必要となり、CRM 連携も含めた拡張性の高 いインフラづくりを目指すことに。さらに、請求業務ではアウトバウンド業務も個別 に行っているため、今回の基盤刷新に合わせて、アウトバウンド業務の効率化も視 野に入れた環境整備が求められたのだ。
そこで同社が注目したのが、アバイアが提供するコンタクトセンターソリューショ ンだった。「オペレータの使い勝手を考慮すると、日本製のほうが適しているという 先入観を当初は持っていましたが、アバイアが提供するエージェント業務支援の StationLinkやコンタクトセンターの状況を可視化するAgent MAP などしっかり日本 の仕様に合わせてローカライズされています。オペレータ視点で、システムが変わっ たとしても使いやすいもので考えると、きちんと日本語対応もできているアバイアで あれば問題ないと考えたのです」と小川氏。実は、今回の刷新前に導入していた システムもアバイアのソリューションだったこともあり、GUI 周りの使い勝手について は以前から一定の評価があった。「あまり大きなインパクトを現場に与えずに刷新で きる点も考慮しました」と説明する。なお技術的な視点では、距離の離れた遠隔地 に交換機を置いて万一に備えたBCP 環境が構築できること、誰にでも扱いやすい GUI が充実していること、そしてCRM をはじめ感動品質に資する環境づくりに役立 つよう外部連携がしやすいAPI がしっかり用意されていることなどが高く評価された。
今回アバイアを選定した大きな要素の1つが、LINEとの連携だ。実は同社では、 すでにAIチャットボットを導入し、テキスト領域についてはLINE 連携をスタートさせ ていた。「国内でのお客さま支援を考えるとLINE 連携は当然考えるべきところ。音声 連携可能なLINE to CallやIVRとの連携を実現するCall to LINE など、すでに国内で 導入実績を持っていたのは大きなポイントでした」と語るのはお客さまセンターイン フォメーショングループ 副長 古賀博文氏だ。もちろん、これはLINE に限った話では ない。今後さまざまなサービスが登場してくるなかで、グローバルなシェアを持って いるアバイアであれば、積極的かつ迅速な対応に期待が持てると考えたという。また、 契約期間の長いBBIQプレミアクラブのプラチナ会員といった、お客さまの属性に合 わせた対応ができる機能が実装されていることも要件の1つに挙げられている。
アバイア採用の最後の後押しになったのが、ブラウザベースでコンタクトセンター が管理できるCC-One Portal の存在だった。実際にスーパーバイザーも含めたメン バー向けにセミナーを開催したところ、エージェントやスキルといった軸でリアルタ イムに情報が可視化、分析できるCC-One Portalが非常に好評だったという。「ビジュ アルで分かりやすく現状が把握できるだけでなく、品質管理に向けた分析やスキル 管理も容易です。スキルの付け替えもでき、設定変更した後に履歴をベースに変更 前に戻すことも。何かあっても“戻せる”という安心感を現場に与えることができます。 感動品質につながるお客さま満足度向上を果たすためには、その前提として従業員 満足度もきちんと高めていく必要があり、その部分にも大きく貢献できると考えたの です」と向江氏。
結果として、同社が目指す感動品質を顧客に提供するためのコンタクトセンター 基盤として、アバイアのソリューションが選択されることになる。
現在は、お客さまセンターとして確保している250 の席数以外に、別の業務で利 用するものも含めて全体で350 席数分のライセンスを購入し、顧客対応の最前線で 活用されている。構成としては、エージェント支援の「StationLink」をはじめ、顧 客セグメントや顧客情報を活用して着信優先順位を決めるなど高度なルーティング が可能な「CallRouting」、通話記録を行う「Verint」、統計レポートに役立つ 「CMS Supervisor」、フロアの状況監視を行う「Agent MAP」、アウトバウンド機能 としての「POM Agent Desktop」、コールバック予約を行う「SmartCB」、そして管 理者向けにはECH(通話詳細情報)で得られた情報を可視化する「CC-One Portal」、 そしてPBX 管理のための「Control Manager」などを導入している。「オムニチャネ ル化するなかで、チャットボットなどノンボイスでの対応が全体のおよそ20%にまで 達しています。今後はこの数字がさらに上がってくることは間違いありませんが、そ うなっても応対品質を高めていくことができる基盤が整備できたと考えています」と 小川氏は評価する。
具体的な運用はこれからだが、新たな運用としては、お客さまセンターから顧客 にコールを行うためのアウトバウンド機能「POM Agent Desktop」を活用することで、 料金請求に関する電話をかける際に役立てるといったアイデアが出ている。「これま では1 件ずつお客さまに連絡してきましたが、POM Agent Desktop を使うことでお 客さまに自動発信し、その電話を空いてるオペレータにつなぐといった使い方も考 えています。限られた時間を有効活用するという意味で業務の効率化につながりま す」と古賀氏。またSmartCB を活用し、回線が混雑しているときにオペレータに代 わりIVRが顧客情報を受付け、オペレータが開いたタイミングで顧客へ自動的にコー ルバックする機能も実装。つながりにくい状況のなかでもきちんとコールバックでき る仕組みを用意することで、お客さま満足度の向上、ひいては感動品質につながる オペレーションに貢献することになるという。
実は、2019 年7 月の本稼働に向けて、現在、システムの立ち上げを実施してい る段階にあるため、具体的な効果についてはこれから試算していくことになる。そ れでも、ノンボイスでのコンタクトにも対応できる基盤が整備できたことで、応対品 質の向上を図りながらコスト削減の効果も期待できると小川氏は見ている。「電話 対応が最も時間がかかりますし、そのためにオペレータも確保しておく必要があり ます。ノンボイスに移行できる環境が整ったことで、全体的な効率化やコスト削減の 効果は間違いなく出てきます」と力説する。また、従来行ってきたデータ分析など の工数が大きく削減できる点も新たな基盤ならでは。「業務の効率化を図るうえで データ分析は欠かせません。ECH に得られた情報をCC-One Portalで可視化するな ど、分析の一次ステップとして有効になるはず」と向江氏は期待を寄せている。
アバイアのソリューションについては、SOAPやREST のAPI が豊富に用意されて いるため、PBX 以外の仕組みとも連携していきながら総合的な管理が可能になる点 を高く評価している。「特にCTI 連携では、情報システム部門が管理しているCRM を 視野に入れていますが、我々がCRM を内製化していることもあり、いろいろな壁に ぶつかる場面も。そんな時でも、必要な情報をタイムリーにいただくことができて感 謝しています」と技術本部 通信サービス設備部 システム工事2 グループ 主任 丸田 伸一氏は評価する。実際には、アバイアとは定期的に情報交換を行っており、最先 端の技術動向から豊富な事例まで有益な情報が入手できると丸田氏の評価も高い。
国内でのお客さま支 援を考えるとLINE 連携は当然考えるべ きところ。音声連携 可能なLINE to Call やIVRとの連携を実 現するCall to LINE など、すでに国内で 導入実績を持ってい たのは大きなポイン トでした
今後については、現状の仕組みを安定稼働させることを第一に、早急にCRMと の連携を進めていきながら感動品質につながるようオペレーションの質を高めてい きたいという。「現場の状況がリアルタイムに把握できるようになるため、早急に課 題を認識し、その対策をオペレータに周知徹底させることで、お客さま満足度もさ らに高めていくことができるようになります。さらに現場でのオペレーションに関する 分析が進むことで、次年度以降の計画に盛り込むこともしやすくなるはず」と小川 氏は期待を寄せている。また顧客ニーズの強いLINE 連携についての検討にも入っ ていく予定だ。AIや声紋認証、音声のテキスト化など、新たなトレンドも含めて情 報収集することで、顧客の感動につながる活動を積極的に行っていきたいという。
他にも、スマートフォンやブラウザの閲覧状況から顧客の行動予測を行い、適切な フォローコールを実施したり、電話をかけてこないサイレントカスタマーの行動を予 測して新たな打ち手に繋げたりなど、オムニチャネル内での行動分析を行うための Avaya Oceana など新たな仕組みについても検討してみたいと向江氏に語った。
ビジネスはそれを提供する側のエクスペリエンスに基づいて構築されており、毎日 何百万ものエクスペリエンスがアバイア(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ) によって構築されています。アバイアは、100 年以上にわたり、お客様とその顧客 にインテリジェントなコミュニケーション体験を創造することで、世界中のあらゆる 組織における成功を支援してきました。アバイアは、コミュニケーションとコラボレー ションを強化し簡素化するため、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境に柔軟 に展開できる、オープンで統合された革新的なソリューションを提供します。お客様 のビジネスの成長のために、イノベーション、パートナーシップ、そして、未来のテ クノロジーの開発に注力しています。お客様が信頼できるテクノロジー企業として、 「真のエクスペリエンス」の提供を支援します。
特にCTIとの連携で は、情報システム部門 が管理しているCRM を視野に入れていま すが、我々がCRMを 内製化していることも あり、いろいろな壁 にぶつかる場面も。 そんな時でも、必要 な情報をタイムリーに いただくことができて 感謝しています
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