第4回 コンタクトセンターの科学:「パレート図を活用しよう!」
アバイア プロフェッショナルサービス シニアコンサルタント
長崎智洋
さて、みなさまは「QCの7つ道具」というものをご存知でしょうか?
QCとはQuality Control、つまり、品質管理のことです。
この「QCの7つ道具」とは、品質管理における数値的品質管理の代表的な7つの手法のことをいいます。
前回は、「コールリーズンを取ろう!」のお話をしました。
今回は、この手法の1つ「パレート図」を使って、取得したデータを利用して、どのように改善に生かすのかをお話ししたいと思います。
その前に、パレートの法則を説明しましょう。
「2:8の法則」というものを聞いたことがありますでしょうか?
「2割の優良顧客が8割の売上げを生む」というのは有名なお話ですよね。
「上位2割のお客様に対してキャンペーンを打とう」などの戦略を作るときに利用できます。
これを品質管理に利用したのがパレート図です。
では前回取得したコールリーズンのレポートを、このパレート図に当てはめてみたいと思います。
まずは、コールリーズンを1日や1ヶ月などの範囲で集計しましょう。
そして、リーズンの多い順にソートして下さい。次に各リーズンの比率を計算し、その比率で上からの累積%を計算します。
この辺はEXCELにやってもらいましょう。
コールリーズン集計表
そして、件数の多い順に、件数を棒グラフで、累積%を折れ線で、グラフ化して見てみましょう。
グラフ:パレート図
こんな感じにパレート図が出来上がりました。
このパレート図はプライオリティーを考えるときに利用することができます。
上のグラフでは、はじめの5つのリーズンで全体のコールの80%以上を占めていることがわかります。
つまり何か対策を打つときには、はじめの5つのリーズンに着目すれば、その対策は全体の80%に対するものになるのです。
例えば、多少強引ですが、数字上ははじめの2つの理由をWebやIVRなどのセルフサービスに移行できたとすれば、全体の呼量の60%以上削減できることになります。
そして、パレート図ではありませんが、下のように処理時間が長い順のグラフを作ってみましょう。
「処理時間が長いリーズンはどれか?」、「なぜ長いのか?」を調べることで、対策のヒントが見えてきます。
処理時間が長い順のグラフ
また、ECHのデータを利用すれば、個人別やスキル別でのリーズンの集計をすることなどもできると思います。
それらを使えば、前回の繰り返しになりますが、以下のような検討ができるかもしれません。
- IVRやWebなどによるセルフサービスの検討
- IVRのメニューの順番(件数の多い順に使い勝手よく)
- IVRでの振り替けの検討
- 窓口・スキルルーティングの見直し
- エージェントとスキルアサインのミスマッチの発見
(特定の理由でエージェントの通話・後処理時間が長い) - FAQの作成、トークスクリプトの作成・改善
- 客先への配布物の不備やわかりづらさ
- 商品・サービスの不具合の発見
- 通話時間・後処理時間削減のためのシステム化(CTI・CRM化)
- etc.
最近、フレームワークという言葉をよく耳にします。
パレート図も「QCの7つ道具」というフレームワークの1つです。
「QCの7つ道具」には、他にもヒストグラム、管理図、散布図、特性要因図、チェックシート、グラフなどがあり、もちろんこれらも活用することができます。
また、他にもたくさんのフレームワークがありますので、コンタクトセンターの分析に活用してみましょう。
今回もお楽しみ頂けましたでしょうか?次回もさらにDeepに行きたいと思います。
第5回
コンタクトセンターの科学:「ヒストグラムを活用しよう!」