第10回 「今さらですがCTIを使いたい!」― CTIをもっと使え(前半:理論編)
みなさま、こんちは。記念すべき第10回の連載になります。これからもDeepに行きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
さて、今回のテーマは今さらですがCTIについてです。今では当たり前のものとなっていますが、まだまだ活用できると思います。
まずは、「処理件数を上げる」ことを考えてみよう
本題に入る前に準備運動です。「処理件数を上げる」をテーマに、ロジカルシンキングのフレームワークの1つであるロジックツリーを使って考えてみましょう。
「処理件数を上げる」ためには、何をすればよいでしょうか?
処理件数を増やすための対策としては、まず二つに分岐できると思います。1つめは、平均処理時間(AHT)を減少させること。2つめは電話に対応できる時間を増やす、つまり、電話に従事する時間を増やすことです。
平均処理時間(AHT)は、平均通話時間+平均後処理時間ですのでおのおの削減することを考えましょう。通話時間の中には、保留・転送時の時間も含めて考える必要がありますね。後処理時間には、純粋な受信後の後処理の他、後処理中の発信作業なども含まれることがあります。これらを含め減少させることが平均処理時間を下げることになります。離席時間は、休憩・研修・会議などに分類されると思います。欠勤・遅刻・早退などの勤怠が改善されれば電話に対応する時間を増やすことができます。ただ、これを改善するのにみなさまご苦労されていると思います。
さて、このように、ロジックツリーを使って、課題を整理・分類することで、何に対して対策を打てばよいのかを判断できるようになると思います。
はたして、今回のテーマであるCTIは、これらの対策と成りうるのでしょうか?
一人のエージェントの重さ
次に少し理論について触れたいと思います。
一、二人のエージェントさんがいる・いないかで、どのくらいサービスレベルに影響があるのかを考えてみましょう。
みなさまは、もう簡単にシュミレーションできますね。わからない方は、「第8回 コンタクトセンターの科学:「アーランの基礎②」-必要なエージェント数を求めよう」を見ておさらいして下さい。
例えば、平均通話時間=180秒、後処理時間=45秒、30分のコール数=200件、目標応答時間=20秒とした場合、サービスレベルを80%キープするために必要なエージェント数は何人になるでしょうか?
もちろん、みなさまはご自分のセンターの数値でシュミレーションして頂ければと思います。
結果を見ると、理論的にはエージェントさんが30人いればサービスレベル84%を達成できます。
ここで、エージェントさんが一人減ると76%に、そして、二人減ると65%になってしまいます。逆に一人増えれば89%、そして二人増えれば93%を達成できます。
そうなのです、一人のエージェントさんがいるかいないかでサービスレベルは全然違うのです。その差は歴然ですね。ですから、呼があふれたときには、バックアップや、他部署からの応援などをされていると思います。
でも、なかなか応援を得るのは難しいですよね。必要なエージェント数を求めるのに必要な条件は、平均通話時間、平均後処理時間、単位時間のコール数、目標応答時間です。この中で何がコントロールできますでしょうか?コール数はお客様次第、目標応答時間は目標ですので、コントロールできるとすれば、平均通話時間・平均後処理時間(=平均処理時間)になります。
そこで、もし、少しでも平均処理時間を短くできたとするとどうなるのか考えてみましょう。
今回の前提は、通話時間=180秒、後処理時間=45秒ですので、合計すると225秒です。これに対して、サービスレベル80%をキープするのを前提として、AHTを5秒短縮できた場合、10秒短縮できた場合、・・・と再度ツールを使って計算してみましょう。
こんな感じになります。
5秒でさえ一人、30秒だと四人も削減できることがわかります。
平均処理時間の内訳である平均通話時間と平均後処理のどちらでもよいので、短くすることはできないでしょうか。
次回実践編では、実際にCTIを使ってできる施策を考えてみたいと思います。
おわりに
さて、今回もアーランが大活躍しましたね。コンタクトセンターでアーランは基本知識なのです。
ところで、先日、コンタクトセンターアワードの最終審査発表会に行って来ました。参加企業様みなさまの努力や改善の取り組みには本当に感銘を受けました。この発表会は、毎年私にとっては元気がもらえる場所でもあります。アバイアもこの業界を盛り上げるために、コンタクトセンターアワードを応援しています。私も個人的にできることをやっていこうかと思っています。この連載がその1つとなれば幸いです。
それでは、次回もご期待下さい。
第11回
「今さらですがCTIを使いたい!」-CTIをもっと使え(後半:実践編)