2022/02/02

第12回 番外編:「今さらですがCTIを使いたい!」― CTIのルーティング

みなさま、こんにちは。今回で12回目となります。1ヶ月に1回のペースで掲載していますのでちょうど一年になります。よく続きましたね。

さて、今回の連載は、前回の連載に含めたかったのですが、色々な都合上漏れてしまいました。
したがいまして、今回は「今さらですがCTIを使いたい!」の番外編ということで「CTIのルーティング」を紹介します。

CTIのルーティングとは?

CTIのルーティングでは、PBXで定義されたコールフローで宛先へ転送するのではなく、CTI経由でPBX以外の情報(データーべースなど)を元に柔軟に転送先を決めてルーティングできます。
CTIのルーティングは、データベースを参照し転送先を決定するため、データベースルーティング(DBルーティング)と呼ばれる場合や、PBXに比べてより高度なルーティングができるため、インテリジェントルーティングと呼ばれる場合があります。
また、このようなCTIのルーティングを応用したものに、ソフトACDがあります。

まずはCTIのルーティングの基本をおさえましょう

PBXに着信時に、PBXからCTIサーバーに呼に関する情報(ANI:発信者番号、DNIS:着信番号)を渡しつつ、「転送先はどこですか?」と聞きます。すると、CTIサーバーがルーティングサーバーに問い合せ、「転送先はxxxxにして下さい」とPBXに返答します。そして、その転送先へPBXがルーティングをします。実際の転送先は、VDNや直接エージェントになるでしょう。
ルーティングサーバーは、転送先を決定するロジックが入っており、データベースから過去の履歴を参照したり、転送のルールを参照したりし、CTIサーバーに転送先を返答します。

まずはCTIのルーティングの基本をおさえましょう

それでは、CTIルーティングで実現できる例をいくつか見てみましょう。

ラストエージェント

前回対応したオペレータに電話をダイレクトに接続する仕組みです。一般に「ラストエージェント」と呼ばれます。例えば、携帯からの電話を受ける割合が高いセンターでは、電波切れなどで通話が切れることが多いでしょう。そこで、この機能を使えば、他のオペレータに着信しさらに前回誰が受けたかを探して転送するといった手間を省くことができます。またこの機能は、担当者がアウトバウンドをした後に同じお客様からインバウンドがあった場合、前回アウトバウンドをした担当者に直接電話をつなぐことができるため、対応をスムーズに進めることが可能になります。

顧客セグメント/ランクやVIP対応

次に、顧客を購買回数や購買金額などでランク分けし、各々にあった対応を実現する仕組みがあります。
ある通信販売会社のコンタクトセンターでは、2、3回目に電話を架けてきたお客様への対応を重視しています。なぜなら、この段階のお客様は、これから優良顧客へ育っていく可能性を秘めている一方、会社や商品への不安・不信を持っているかも知れないからです。そこで、CTIのルーティングを使い、お客様に信頼・安心を与えるため、スキルの一番高い担当者に電話をつなげています。また、優良顧客を識別し、優良顧客担当者へ優先的に電話を接続する対応も可能です。

再放棄呼を優先する

お客様が何度もセンターに架けて来てくれたのに電話に出られず放棄になってしまった。次にそのお客様から電話があったら他の待ち呼より優先して接続します。途中で放棄した時間や回数などもデータベースに保存する必要があるので、ちょっと大掛かりになります。また、1ヶ月前に放棄されたお客様は優先する必要がないと思いますので、24時間以内だったら優先するなどのルール決めが必要です。

ソフトACDとは

さて、少し話しは変わって、CTIルーティングを応用したソフトACDについて少し触れておきたいと思います。
ソフトACDでは、データベースから検索されたルールに基づいて転送するだけはありません。CTI上でエージェントのステータスやコールの状況を管理し、CTI上でスキルやコールフローを定義します。そして、そのCTI上のスキル・コールフローに基づいて電話をルーティングします。つまり、PBXがルーティングを行うのではなく、CTI自体がACD機能を行うということで、PBXが行うACDに対して、ソフトACDと呼ばれます。

ソフトACDは、CTI上でスキルを作成しデータベースを参照するなど、同じルーティングエンジンの上で、データベースアクセスとACD機能が一元管理できるメリットがあります。しかし、一方でデメリットもあります。それは、PBXに加え、CTI上でもエージェントIDやVDN番号などの登録が必要となること、また、CTIの障害時に備え、PBXのルーティングも定義する必要があるということです。結果、PBXとCTI両方に定義登録が必要になり、二重管理となり、メンテナンスが複雑になります。また、レポートも複雑になってしまいます。
このように、ソフトACDには、メリット・デメリットがありますので、考えた上で導入を検討すべきでしょう。
個人的には、適材適所に必要なところにCTIのルーティングを入れ、あとはPBXのルーティングに任すのが一番シンプルでわかりやすく効果的だと思っています。

大事なポイントは

ここで、CTIのルーティングを実現するにあたり、忘れてはならないポイントがあります。それはルーティングの種類によっては、"発信者を特定する"必要があることです。
発信者番号が通知されやすい電話(家庭からの電話や携帯電話など)が多いセンターでは、この機能を利用しやすい環境にあるでしょう。一方、非通知の電話が多いセンターでは、別の方法で顧客を特定する必要があります。そこで登場するのが、音声応答装置(IVR)です。IVRを通してお客様が"ピ・ポ・パ音"でお客様番号などを入力することにより、顧客特定が可能となります。また、お客様にあった、アナウンス・メニュー・キャンペーン情報の紹介など、IVRのコンテンツをインテリジェント化することもできます。

おわりに

CTIルーティングのベースにあるものは、「CTI機能を使ってPBXでは取得できない情報を参照し、電話の接続先を決める」ということです。従って、この機能を生かすためには、そのための仕組みづくりが重要となります。この機能を使い、サービス向上、売上げ向上、生産性向上を実現しているコンタクトセンターが多数存在してきています。今回紹介したパターンを参考に、CTIのルーティングの導入を検討してみるのはいかがでしょうか。

次回のテーマは、CMSに触れてみようと思います。
それでは、次回もお楽しみ下さい。

第13回

「コールフローとCMSレポートとの関係について」

 

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